一般社団法人 日本投資顧問業協会

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会長挨拶

 

 日本投資顧問業協会会長の大場昭義でございます。6月15日開催の定時総会において、2023年度の新役員が選任されました。新体制での協会運営を行うにあたり、ご挨拶申し上げます。

 当協会の会員数及び会員が受託する運用資産額は、年々増加し、運用資産額については、今や540兆円を超える規模となっております。さらに、投資信託を加えた我が国資産運用業界全体の運用額では800兆円を超えており、我が国GDPや金融機関の融資総額を大きく上回る規模となっております。
  (参考)・2022年名目GDP:561兆円
      ・2023年4月貸出平残(銀行+信金):603兆円
  一方、資産運用業界の現状を率直に申し上げますと、銀行、証券、保険に比べ、国民から必ずしも認知されておらず、資産運用会社の存在意義が社会的に認知されるには、相当な努力、取組みが必要だというのが実態ではないかと考えております。

 金融庁が公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2023」においては、我が国の資産運用業が専門性と透明性を向上し、顧客資産の持続的な拡大を図り、重要産業に発展していくこと、また、中長期的な企業価値の向上と資本市場の活性化を図り、家計・個人がその果実を享受できるようになることを業界全体で目指すべき、と指摘されております。
  さらに、本年4月には、政府の金融財政諮問会議において、総理より金融担当大臣に対し、国民の資産形成の促進に向けて、資産運用業を抜本的に改革するための「政策プラン」を策定するよう指示が出されており、今後、具体的な検討が行われていくものと承知しております。
  また、投資助言業に関しても、金融審議会 市場制度ワーキンググループの中間報告が公表され、良質なアドバイスが広く提供されるよう環境整備を進めるべきとの提言がされており、「認定アドバイザー制度」の創設等に向けた制度整備が進められております。

 当協会としては、資産運用業は、企業価値の向上を図り、その収益の果実を家計にもたらす、好循環社会を実現する上で、極めて重要な役割を担う存在であることを理解して頂き、資産運用会社が国民の皆様にとって身近な存在となっていくことを目指し、「資産運用業宣言2020」を表明しました。この宣言において資産運用会社の「社会的使命」と「目指すべき姿」を示すとともに、この実現に向け、会員の自主的な取組みを促してきたところであります。

 昨年度の主な取組みを申し上げますと、まず、本年2月3日、初めての試みとして「資産運用業大会」を投資信託協会との共催により、資産運用業関係者が一堂に会する形で開催致しました。この大会には、両協会の会員代表者のほか、資産運用会社を子会社に持つ国内金融グループトップの方々、アセットオーナー幹部、金融庁幹部など約300名の皆様にご出席頂きました。ご出席頂いた方々からは、有意義な取組みであったとの感想が寄せられており、この取組みは、今後も継続して参りたいと考えております。

 次に、会員のスチュワードシップ活動の実効性を高め、コーポレートガバナンスの向上に貢献することを目的に設けている「スチュワードシップ研究会」を開催致しました。昨年度の研究会では、上場企業経営者をゲスト・スピーカーにお招きし、対話の質の向上に向けて会員代表者等と議論して頂きました。今回の研究会を通じ、実効性あるスチュワードシップ活動を支援していく上では、協会としても、企業とのパイプを作り、企業と資産運用会社が率直に議論できる場を設けていくことが重要と改めて認識できたところであり、こうした取組みは、さらに強化していく必要があると考えております。

 また、協会活動の大きな柱の一つである「会員のコンプライアンス態勢の整備に向けた支援活動」については、当協会は、多数の会員(本年3月末現在838社)で構成され、会員の行うビジネスの内容も多様性に富んでいるという特徴を踏まえながら、各種コンプライアンス研修の実施、自主規制規則遵守のための調査、会員監査などの活動に取り組んできているところです。今後も、多様なビジネスを行う会員が健全に発展していくため、当局とも連携しながら、会員のコンプライアンス態勢の強化に向けた支援活動を継続して参ります。

 その他、大学での寄付講座の継続、寄附講座を集大成した書籍の出版などを通じた金融教育への貢献や、各省庁の審議会・研究会等における意見発信等にも取り組んできたところです。
 
 以上が昨年度の主な活動となりますが、冒頭申し上げましたとおり、資産運用業に対しては、国民が実感できる資産形成への貢献が強く期待されております。協会としては、資産運用業界が飛躍的に発展していくチャンスとして捉え、会員の皆さまを始め、関係各位のご意見を踏まえながら、各種事業に取り組んで参りたいと考えております。

 最後になりますが、国民の資産形成は、人生100年時代の国家戦略でもあり、これからの金融業は、国民の資産形成に貢献する金融モデルに転換していくことが求められております。資産運用会社は、新しい金融モデルにおける中核的な存在であり、投資家目線に立って、「国民の資産形成の促進」、「企業価値向上への貢献」、「顧客利益の最優先」という3つの視点をもって業務を進めていくことがより重要であります。協会としても、会員の皆様が国民の資産形成を前に進める取組みをサポートして参る所存です。

 関係各位におかれましては、引き続き協会活動にご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2023年6月

一般社団法人 日本投資顧問業協会
会長  大場昭義

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